CAST & STAFF
キャスト・スタッフ
映画の中では兵士。
映画の外では、それぞれの人生があった。
主演のヴァン・ジョンソンと、 第442連隊戦闘団で実際に戦った元兵士たち。 1951年の日本版パンフレットは、 出演者の軍歴だけでなく、戦後の仕事や学生生活まで紹介している。 ここでは映画の役柄と、当時の資料に残る人物像を併せてたどる。
キャスト
ヴァン・ジョンソン
Van Johnsonマイケル・グレイソン少尉
1940年代から1950年代にかけて、MGMを代表する人気俳優の1人。 戦争映画、恋愛映画、ミュージカルなど幅広い作品に出演した。 『戦場』(1949)、『ケイン号の叛乱』(1954)、 『ブリガドーン』(1954)、『雨の朝巴里に死す』(1954) などで知られる。
『二世部隊』では、日系兵士への偏見を抱いたまま 第442連隊戦闘団に配属される若い士官を演じる。 最初から部下たちの理解者なのではない。 彼が戦場で何を見て、どのように変わっていくかが、 観客にとっても兵士たちを知る入口になる。
ピロッシュが脚本を担当した『戦場』にも出演しており、 本作では再び同じ製作陣と兵士の物語に取り組んだ。 スターである彼と、映画出演を本業としない日系出演者たちの 共演も、本作の特徴である。
レイン中野
Lane Nakanoサム
グレイソンと向き合う日系兵士サムを演じる。 家族の収容という現実を背負いながら、 自分たちがアメリカ市民であることを語る人物である。 部隊の仲間たちを描く場面でも、 彼の落ち着いた受け答えが印象に残る。
旧パンフレットによれば、カリフォルニア州ロングビーチ生まれ。 ロサンゼルスで学び、双子の兄弟ライルと洗濯業を営んだ。 映画公開当時はパサデナの不動産会社に勤務していたという。 実戦で勲章を受けた元兵士としても紹介されている。 スクリーンの中の兵士と、戦後の市民生活が、 1人の人物の経歴としてつながっている。
ジョージ三木
George Mikiチック
鶏の雌雄鑑別を仕事にしていた兵士チックを演じる。 兵士になる前の職業が会話や人物描写に織り込まれ、 部隊に集まった若者たちが、それぞれの生活から 戦場へ来たことを伝える。
旧パンフレットは、戦後に第442部隊の古兵倶楽部の 会長を務め、ハワイの地域社会でも活動していた人物として紹介する。 映画出演時にも、彼は単なる「新人俳優」ではなく、 戦争を経験し、帰還した仲間たちと関わり続ける市民だった。
アキラ福永
Akira Fukunagaフランク
フランクを演じる。 旧パンフレットには「サンシャイン」という愛称とともに、 いつも笑顔を見せる人物として紹介されている。 戦場の緊張の中にも、兵士たちの普段の表情が残る。
同資料によれば、ハワイ大学を卒業し、 ハワイ・タイムスの新聞記者を経験した。 除隊後は第442部隊の古兵倶楽部の活動にも携わっていたという。 軍歴だけでなく、新聞や地域社会との関わりまで記されている点が、 当時の人物紹介の面白さである。
ケン・K・岡本
Ken K. Okamotoカズ
ウクレレを弾く兵士カズを演じる。 仲間たちの間に音楽とくつろぎを持ち込む存在で、 軍隊生活を戦闘と命令だけではないものとして見せてくれる。
旧パンフレットによれば、ホノルル生まれ。 従軍中にも部隊や野戦病院で演奏し、 戦後は輸出入会社で働きながら シェルビー・セレナーダース楽団のリーダーを務めていた。 映画の中の音楽家としての姿には、 本人の経験が重なっている。
ヘンリー岡里
Henry Oyasatoオハラ軍曹
仲間たちを率いるオハラを演じる。 旧パンフレットは、この役が本人の従軍経験を 再現するようなものだったと紹介している。 命令を伝える時にも、仲間と会話する時にも、 部隊の生活を知る人の自然な身のこなしが見える。
戦後はハワイ大学を卒業し、ホノルル税関に勤務。 第442連隊関係の記録には、 フランスでの戦闘における行動とシルバースター受章が残っている。 その後も軍務を続け、後年には大佐となった。
本編の英字クレジットは「HENRY OYASATO」。 一方、旧日本版パンフレットには「岡里」の表記が残る。 今回は日本公開当時の記録を生かした日本語表記と、 本編の英字表記を併記している。
ハリー浜田
Harry Hamadaマサミ
小柄な兵士マサミを演じる。 真珠湾攻撃で両親を失ったという過去を持ち、 志願しても年齢や身長を理由に入隊を断られた経験を語る。 彼にとって戦争は、国家同士の対立であると同時に、 自分の家族を奪った出来事でもある。
軍服の寸法をめぐるやり取りではユーモアを、 戦場では身体の大きさで測れない勇敢さを見せる。 グレイソンが部下たちを見る目を変えていく過程で、 強い印象を残す人物である。
ヘンリー中村
Henry Nakamuraトミー
部隊の若い兵士トミーを演じる。 仲間たちの中でも若さが際立ち、 戦場へ向かう若者の無邪気さや危うさを感じさせる。
旧パンフレットでは、ハワイ大学で心理学を学ぶ学生として紹介される。 MGMからの出演の誘いに当初は応じようとせず、 妹たちに繰り返し勧められて、ようやく決心したという。 この逸話は、本作の日系出演者を 一律にプロの俳優や第442連隊の帰還兵として 捉えられないことも教えてくれる。
ジャンナ・マリア・カナーレ
Gianna Maria Canaleロジナ
イタリア出身の女優。 グレイソンがイタリアで出会う女性ロジナを演じる。 兵士たちにとって戦場である土地にも、 そこで暮らす人々の日常があることを感じさせる役である。
旧パンフレットによれば、 美人コンテストをきっかけに映画界へ入り、 イタリアやブラジルでの映画出演を経て本作に参加した。 MGM側のテストを通じて起用された経緯も紹介されている。 日系兵士たち、アメリカのスター、イタリアの女優という 異なる背景の出演者が、同じ映画の中で出会っている。
ワーナー・アンダーソン
Warner Andersonチャールズ・W・ペンス大佐
グレイソンを迎える部隊の大佐を演じる。 日系の部下に不満を抱く若い士官に対し、 彼らは日本人ではなくアメリカ市民であり、 志願してきた兵士なのだと説く。
映画の冒頭で、グレイソンの偏見と軍の立場の違いを 明確にする人物である。 ただ声を荒らげるのではなく、軍人としての規律と 部下への責任を感じさせる演技が、場面を支えている。
ドン・ハガティ
Don Haggertyウィルスン・J・カリー軍曹
グレイソンの旧所属部隊、第36師団の軍曹を演じる。 グレイソンにとって親しい仲間である一方、 日系兵士たちに向ける言葉が、 変わりつつある彼の考えを浮かび上がらせる。
グレイソンが以前の仲間と再会することで、 自分自身の変化に気づく。 カリーは、その変化を映し出す役割を担っている。
ダン・リス
Dan Rissソラリ大尉
グレイソンの上官となる中隊長を演じる。 第442連隊に対する疑念を口にする少尉に、 部隊の成り立ちや日系兵士たちについて説明する。
部隊の合言葉「GO FOR BROKE」の意味を伝える場面も印象的。 訓練生活と実戦の双方で、若い士官と兵士たちをつなぐ人物である。
スタッフ
- 製作
- ドア・シャリー
- 原作・脚本・監督
- ロバート・ピロッシュ
- 撮影
- ポール・ヴォーゲル
- 音楽
- アルベルト・コロンボ
- 技術顧問
-
トマス・W・エーキンス中佐
マイケル正岡
ロバート・ピロッシュ
Robert Pirosh原作・脚本・監督
第二次世界大戦ではアメリカ陸軍の歩兵として従軍し、 バルジの戦いを経験した。 戦争を外から取材しただけではなく、 自分自身が兵士として戦場にいた脚本家である。
その経験を背景に脚本を書いた『戦場』(1949)は、 ウィリアム・A・ウェルマンが監督し、 ヴァン・ジョンソンらが出演した。 ピロッシュはこの作品で、 1950年の第22回アカデミー賞の脚本賞 (当時の部門名は「Writing — Story and Screenplay」) を受賞している。
『二世部隊』では原作・脚本に加えて監督も担当。 1952年の第24回アカデミー賞で、 再び同じ脚本部門にノミネートされた。 戦闘の中の緊張だけでなく、 兵士たちの冗談、苛立ち、音楽、仲間との会話を描くところに、 『戦場』とのつながりも見える。
本作は記録そのものではなく、 人物と出来事を物語として構成した映画である。 それでも、監督自身の戦場経験と、 実際に戦った出演者たちの存在が、 兵士の生活を描く細部を支えている。
ドア・シャリー
Dore Schary製作
『戦場』に続いて、ピロッシュと兵士たちの映画を製作した。 主演のヴァン・ジョンソン、撮影のヴォーゲルも含め、 『二世部隊』には『戦場』の製作陣が再び集まっている。
旧パンフレットは、シャリー自身が製作に当たり、 米陸軍省の後援と技術顧問の協力を得たことを記している。 人気スターと元兵士たちを組み合わせた本作は、 MGMの映画製作と、日系部隊の戦争経験が接する作品となった。
ポール・ヴォーゲル
Paul C. Vogel撮影
『戦場』で1950年の第22回アカデミー賞 撮影賞(白黒)を受賞した撮影監督。 『二世部隊』でも白黒映像を担当した。
兵舎での集団のやり取りから、 戦場で身を伏せ、進み、仲間を探す兵士たちまで、 人物と周囲の空間を同じ画面の中に捉える。 顔の表情だけでなく、身体の動きや仲間との距離にも、 部隊の生活が映っている。
アルベルト・コロンボ
Alberto Colombo音楽
本作の音楽を担当。 戦争映画としての緊迫感と、 兵士たちの生活を描く場面の間をつなぐ。 劇中ではカズのウクレレなど、 兵士自身が奏でる音楽も登場し、 戦場に持ち込まれた日常の一部として響いている。
マイケル正岡
Mike Masaoka / Michael Masaoka技術顧問
第442連隊に従軍した経験を持ち、 本作では技術顧問として製作に協力した。 旧パンフレットは、本人だけでなく兄弟たちも戦場に赴き、 戦死者や負傷者が出たことを紹介している。
映画に出演する元兵士たちに加え、 製作の側にも実際の部隊を知る人物がいた。 本作を支える戦争経験は、 スクリーンに映る人々だけに限られていない。
日本語字幕版
- 日本語字幕
- 落合寿和
- 字幕制作・配給
- 有限会社ヘザー
2007年に制作した日本語字幕を、 2026年に改めて映像素材へ再同期・再調整。 初公開時の日本版パンフレットも読み直し、 出演者の人物像や、当時の日本での紹介をたどった。
日系出演者の日本語表記には、 日本公開当時の資料に残る漢字表記を生かしている。 旧資料、本編クレジット、現在の資料には表記の違いがあり、 英字名も併記した。 旧パンフレットに基づく職業や学生生活の紹介は、 映画公開当時の情報である。
参考資料
- 1951年日本公開時の『二世部隊』パンフレット (日比谷映画劇場版ほか)、 本編クレジットおよび日本語字幕。
- アカデミー賞公式記録:1950年・第22回 /『戦場』の脚本賞・撮影賞。
- アカデミー賞公式記録:1952年・第24回 /『二世部隊』の脚本賞ノミネート。
- TCM:『戦場』の製作背景 /ピロッシュの従軍経験と製作の経緯。
- Sons and Daughters of the 442nd:Henry Chiyei Oyasato /オハラ役出演者の軍歴・戦後の経歴。
- IMDb:Go for Broke!(1951) /作品・出演者情報。
